●一面的なものの見方が不幸を招く

 人間、だれしも価値観をもっていますよね。でも、その価値観にしがみついてしまうと、不幸になるリスクが高まると思います。

 多くの人が持っている価値観は、おそらく次のようなものでしょう。 

 結婚すれば幸せになれる、お金持ちだと幸せになれる、恋人がいれば幸せになれる、試験に合格すれば幸せになれる、一流大学を出れば幸せになれる、などなど。

 価値観をもっていること自体は悪いことではありません。というより、価値観を持たずに生きることは不可能です。

 しかし、価値観にしがみついて一面的なものの見方しかできなくなると不幸に陥りやすいということは覚えておいたほうがいいと思います。

 たとえば、「恋人がいれば幸せになれる」という価値観にしがみついていると、恋人がいる間はウキウキしているでしょうが、恋人にふられると、人生が真っ暗になったように感じるのではないでしょうか。恋人がいない状態がとても不幸に思えてしかたないのではないでしょうか。

 もちろん恋人がいればいたで幸せな人生を送れるかもしれませんし、それは否定しません。

 しかし、恋人がいないならいないで、いないなりに幸せな人生が送れるかもしれないのです。ですから「恋人がいれば幸せになれる」という価値観にしがみついている人には、「恋人がいる・いないが人生のすべてではない」という見方もあるということに気づいてほしいのです。

 別の例をあげましょう。会社での昇進がすべてだと思いこんでいる人がいるとします。彼にとっては、一にも二にも、昇進がすべでなのです。そんな彼が、同僚に昇進レースに負けてしまったら、やりきれないでしょうね。

 昇進できれば昇進できたで幸せな人生を送れるかもしれませんが、それは昇進することの一面しか見ていないのです。実際、昇進してみたら、昇進することはそれほどいいことではないと思うかもしれませんよね。ですから、昇進するためにがんばること自体はよいにしても、「昇進だけが人生のすべてではない」という見方もあることに気づいてほしいのです。

 不幸に陥らないコツ、それはものごとを何でもかんでも一面的に「こうなれば幸せだ」と決めつけないことです。