●不倫の恋で幸せはつかめるのか

 私はよくラジオでやっている人生相談を聞くのですが、相談者の悩みの中でも不倫関係の悩みが多いのには驚かされます。

 というのも、私自身、不倫の恋で幸せなどつかめるはずはないと思っているし、ゆえに最初の最初から不倫などというものに興味がないからです。
 どんなに美しい女性がいても、そしてどんなに優しくしてくれたとしても、最初の最初から恋愛の対象とは見ませんね。
 だから、あまりにも多くの人が不倫の恋に夢中になっているのに驚いてしまうのです。
 なぜ不倫の恋なんかにはまってしまったのかって、ね。

 不倫の恋で幸せがつかめないことをわかりやすい例をあげて説明しましょう。
 たとえば、麻薬をやって幸せなどつかめるはずはありませんよね。一時的にうっとりできるかもしれませんが、それはあくまで一時的なこと。長い目で見れば、けっして幸せの源泉ではないことはわかるはずです。
 なのに麻薬こそが幸せの源泉だと思っている人が多くいたら、驚いてしまいますよね。
 それと同じなのです。
 
 まあ、といいますか、ちょっと醒めた言い方をしますと恋というもの自体が幻のようなものであって、熱をあげるべきものではないとも思っています。
 ですから、不倫だけではなく、独身者同士の恋であっても、熱をあげるべきではないと思っています。

 ずいぶん醒めた言い方をするなと思われるかもしれませんが、恋の本源は自分には足りないものにあこがれることであることから考えれば、移り変わりの激しいこの世のものにあこがれるのは愚の骨頂なわけです。この世にあるものはすべて不完全なものであって、完全なものなど何もないのですから…。
 ですから、恋するべきものがあるとすれば、この世のものにではなく、あの世のもの、つまりは善そのもの、美そのもの、正義そのものにあこがれるべきなのですね。人によってはそれを神と言います。 

 まあ、少し極端なことを言ってしまいましたが、恋は盲目という言葉もあるとおり、恋愛というのは所詮は幻ということだけはだれもが認めるのではないでしょうか。
 もちろん、恋愛を経て結婚という形はあってもいいと思いますし、独身同士のものが恋愛だけ楽しんで結婚しないというのもあってもいいと思います。ただ、やっぱり、不倫を美化するのはどうもいただけませんね。
 なぜならそれは麻薬と一緒でけっして良い結果をもたらさないからです。

 ですから不倫の恋にはまっている人がいたら、
「舞い上がっているんじゃないよ、そんなところに幸せの源泉はないよ、もっとほかのところに幸せの源泉を求めるべきだよ」
 って言ってやりたくなりますね。