●人間関係を改善する言葉を使う

 トラブルが生じたとき、往々にして相手のことを批判したくなるものです。

 「君がこんな愚かなことをするからダメになったんだ」
 「君がこんな性格だからダメになったんだ」
 「君には元々これをうまくやる能力なんかなかったんだ」などなど。

 カッとなったときなどは、心の中でそう思っているだけでなく、つい口に出してしまうこともあるでしょう。

 しかし、相手を批判したところで、相手との人間関係が悪化するだけだということは肝に銘じておくべきです。
 なぜなら、殆どの人は、自分が批判されたら自己防衛に走るだけだからです。
 仮に態度をあためることがあったとしても、批判されたという感情はどうしても残ってしまいます。結局のところ、何もいいことはないのです。

 アンソニー・ロビンスは、良好な人間関係を築いている人たちを調べたところ、彼らは人間関係にトラブルが生じたとき、transformational vocabulary を使う習慣があったと述べています。
 私流に訳せば「人間関係を改善する言葉」となります。

 「お前の料理はいつもまずい!」というのは単なる悪口です。
 これでは言われた方はどうすればいいのか分かりません。
 これでは人間関係が悪化するだけです。
 結局、その一言は悪い形で自分に跳ね返ってくることになります。

 しかし、「君の作ってくれる料理はいつもおいしいんだが、今回は僕の口にはスパイスがちょっと利きすぎたようだ。次回からは少し香辛料を控えてくれたらありがたいのだが…」とでも言えば、「人間関係を改善する言葉」となります。
相手もどうすればいいのかが具体的に分かりますから、次回から「改善された」料理が出てくることになるでしょう。

 トラブルが生じたとき、まちがっても相手のことを批判するのは止めることです。
 腹が立っていても、グッと堪えることです。
 グッと堪えて、「人間関係を改善する言葉」を使えば、その報酬は最終的に自分が受け取ることになるのです。