●レッテルを貼らない

 「勝ち組」「負け組」という言葉があります。

 一般には、結婚できた人は「勝ち組」、結婚できない人は「負け組」という使われ方をします。

 他にも「勝ち組」「負け組」はたくさん考えられます。

 例えば、金持ちが「勝ち組」なら、貧乏が「負け組」。
 一流大学卒が「勝ち組」なら、高卒が「負け組」。
 健康な人が「勝ち組」なら、病人が「負け組」などなど。

 当然ながら、このような言葉を使っている人は、自分は「勝ち組」になりたいと思っています。
 そして自分が「勝ち組」になれたら、「負け組」の人たちを「負け組」のレッテルを貼って見るようになるのです。

 「なんだかんだいっても、この人はしょせん『負け組』だ」

 言葉に出して言うか言わないかは別としても、自分のほうが「勝っている」ように感じてしまうのです。

 しかし、このように「勝ち組」「負け組」というレッテルを貼って人を見ていると、相手の真の姿が見えなくなるばかりか、自分で自分を苦しめる原因を作ることになります。

 では、なぜ自分で自分を苦しめることになるのでしょうか。

 それは、どんな人も一生「勝ち組」のままではいられないからです。

 今、結婚している人でも、数年後には配偶者に離縁されて独身になるかもしれません。
 もしそうなったら「負け組」に転落です。

 ある検定試験に合格して「勝ち組」になったとしても、別の試験に不合格になれば「負け組」に転落するのです。

 今は健康でも、いつ大病を患うかわかりません。「勝ち組」の人が「負け組」になる可能性は一生涯つきまとうのです。

 他人を「勝ち組」「負け組」のレッテルを貼って見る人は、自分にも同じようにレッテルを貼って見ているのです。だからこそ、自分が「負け組」になったとき、苦しまなければならなくなるのです。

 一段上に立ったところから他人のことを「勝ち組」だとか「負け組」だと評価するのはやめましょう。

 そういう色眼鏡をかけることそのものが、未来の自分に対して苦しみの原因を作っていることになるのですから。