●はやる気持ちをぐっと堪える

 アリストテレスは、人間が克服すべき悪徳の一つとして「無抑制」をあげました。

 無抑制とは、がまんができないことを言います。

 俗に言う、「わかっちゃいるけどやめられない」「わかっちゃいるけどついついやってしまった」という状態のことです。

 では、なぜ私たちは「わかっている」のにがまんができないのでしょうか。
 「わかっている」のであれば、「わかっている」とおりにやっていればいいのに、なぜわざわざ「悪いこと」をやってしまうのでしょうか。

 アリストテレスは、その原因は2つあると言いました。
 1つは「性急さ」、そしてもう1つは「性格の弱さ」です。

 「急いては事をし損じる」「急がば回れ」「短気は損気」という言葉がありますが、英語にも make haste slowly という似たような表現があります。
 これらはすべて「性急さ」を戒めるための言葉です。

 私たちは、感情に支配されいるときや、冷静な判断ができなくなっているのです。
 そういうときに、じっくり考えずに行動を起こすと間違ったことをしでかす可能性が高くなるのは当然のことです。

 気持ちが高ぶったときであればあるほど、すぐに行動にでるのではなく、落ち着いて考えることが必要だということを覚えておきましょう。

 行動に出る前に、次のようにじっくりと自問してみることです。
 「今、こういう行動に出て、どういう結果になったとしても後悔することはないだろうか?」
 一度だけでなく、二度も三度も自問しましょう。

 後悔しないと断言できるほど確信に至っているのなら、行動にでていいでしょう。

 しかし、そういう確信に至っていないのなら、まずはじっくり考えてみることです。そうすることで後悔するようなことをする可能性も低く抑えられるはずです。