●自分の果たすべき役割を振り返ってみる

 私たちは、通常、複数の役割の中で生きています。

 例えば、ある中年男性は、子供に対しては「父親」という役割があります。
 妻に対しては「夫」、両親に対しては「息子」、弟に対しては「兄」という役割があります。
 ほかにも血縁関係における役割には「おじ」とか「いとこ」としての役割などがあります。

 優先順位が最も高くなるのが、こうした血縁関係における役割です。

 次に重要になるのが、経済的な意味を持つ役割です。
 会社で働いていれば、上司に対しては「部下」、同僚に対しては「同僚」、部下に対しては「上司」としての役割があります。

 その次に位置するのが、経済的な意味を持たない役割です。
 「親友」「友人」「先輩」「後輩」「友人の友人」「隣人」「知人」…。

 実は、役割はこれだけではありません。
 
 私たちはだれしも「自分自身」という役割ももっているのです。
 例えば、試験に合格したいと思っている人は「受験生」としての役割ももっていることになります。マラソン大会に出る人ならば「マラソンランナー」としての役割ももっていることになります。

いろいろな役割は人生に彩りを与えてくれるものであり、たくさんの役割を持つこと自体、問題はないのです。ただ、一つの役割に固執するあまり他の役割を犠牲にすると問題が生じるのです。

 例えば、難関試験に合格したいと思うがあまり、「受験生」としての役割ばかりに時間を割きすぎて、「父親」や「夫」としての役割を犠牲にしたとすれば、「受験生」としては合格でも、「父親」や「夫」としては失格ということになります。

 気をつけなければならないことは、一つの役割において傑出した結果を出すことが、他の役割を犠牲にしてもいいという免罪符にはならないといことです。
 他の役割を犠牲にすれば、結局、そのしっぺ返しは自分に跳ね返ってくるのです。

 常に自分の果たすべき役割を振り返る習慣を身につけましょう。

 そしてもし犠牲にしている役割があれば、ただちに愛情を注ぎ始めましょう。

 そのほうが1つの役割に固執しながら生きるより、何倍も心安らかに過ごせます。