職業としての翻訳は成り立つか
 
 職業として翻訳をやろうとしている人には、一度、『職業としての翻訳 』という本を読まれることをお勧めします。

 結論だけを先に言えば、同書の著書は、留保付きですが「職業としての翻訳は成り立たない」と述べています。特に、出版翻訳は職業としては成り立たないとも述べています。

 つまりは、食べていけないということですね。

 では、翻訳をすること自体間違ったことなのでしょうか。

 そうではありません。

 趣味としてやる分にはいい、と述べています。

 私自身、すでに30冊近い翻訳書を出していますが、出版翻訳を専業または専業に近い形でやろうと思わないほうがいいと感じています。

 もちろん、一生食べていけるお金があるような人が趣味でやる分にはかまいませんし、大学教授など他にしっかりした稼ぎ口がある人が、超長期の翻訳期間をもらってライフワークとして名著を訳すというのもいいかも知れません。

 なぜなら、そういう人たちはお金を当てにしなくていいからです。

 つまりは、出版翻訳はお金目当てでやってはならないということですね。

 これから出版翻訳家になろうとしている人に言いたいことは、当分(少なくとも3年とか5年くらい)は一切働かなくても食うに困らない経済状態であるか、翻訳以外の仕事でも十分に食べていける収入があり、かつ、休日だけ働いても納得のいくクオリティの翻訳ができる翻訳期間を与えてくれる出版社を見つけるか、という条件をクリアしてから出版翻訳家になるといいということです。

 そうすれば、才能をうまく開花させることができやすいと思いますね。

 まあ、これはあくまで私の個人的な感想なので、必ずしも鵜呑みにする必要はありません。

 いずれにせよ、出版翻訳家になろうと思っている人は、それが職業として成り立つものかどうか一度考えておくことです。そのためには先に紹介した本は必読書だと思います。