こういう手もあります

 過去に何人の方から「英語力に自信がないのですが、どうしたらいいでしょうか」といった趣旨の質問がありました。そこで、ロンドン大学遠隔教育に入学しても実際にやっていけるかどうか自信がもてない人に対して、私の考えるところを述べたいと思います。

 ロンドン大学遠隔教育は、遠隔教育といっても、ロンドン大学が「通学課程の学生と一切差をつけない」という趣旨のことを公表していますので、日本人だからということで何のハンデもないと考えておいたほうがいいでしょう。

 どういうことかといえば、最終試験である論述試験は通学課程で学んでいるロンドン大学の学生とまったく同じ基準で採点されるということであり、日本人だから英語の文章表現が多少拙くても甘めに採点してもらえるということはないだろうということです。

 実際、解答用紙には国籍を書く欄がないのはもちろんのこと、名前も学生番号も書く欄はありません。書くのは受験番号だけ。ですから採点者には、受験番号からだけでは、その解答が通学課程の学生が書いたものなのか遠隔教育の学生が書いたのか、ネイティブが書いたものなのかノンネイティブが書いたものなのか分かりません。すべては解答用紙に論述された英文だけで評価が下されるわけです。

 以上のことから、英語で論述する自信のない人は、少なくともある程度の論述力がついてから入学したほうが良さそうです。といっても日本人で英語で論述する機会などそうそうあるものではないでしょうから、論述の基盤としての英語力として、わかりやすい例でいえば、英検なら準1級に楽々合格できるレベル、TOEICなら800点は超えられるレベルは必要だと思います。

 英語力が上記のレベルに達していても、学部に入学してやっていけるかどうか自信のない人は、いきなり学部に入学するのではなく、ディプロマ課程やサーティフィケート課程などの短い課程で勉強してみて、学部で勉強する自信がもてた段階で学部に編入するという手もあります(ただし、そのような課程がある学部に限りますが)。また、それも自信のない人は、インディビジュアルコースといって1科目だけ履修するコースもある学部があります。

 たとえば哲学部では「哲学入門」、神学部では「旧約聖書入門」「新約聖書入門」「キリスト教教義」「宗教哲学」のいずれかをインディビジュアルコースとして履修でき、一定の点数を取って合格すれば、将来、ディプロマ課程や学士課程に進学した場合に単位認定してもらえる場合があります。1科目だけの履修ですから、当然、学費も安上がりですし、仮に単位取得できなかったとしても、いきなり学部に入学して中退するよりは損失は少ないでしょう。

 英語が上記のレベルとかけ離れている場合は、ロンドン大学遠隔教育は将来の夢としていったんは頭の片隅に入れておいて、英語の勉強に励みながらも、どうしても勉強したいことがあるのなら、日本の大学の通信課程で勉強してもいいと思います。日本の大学の通信課程もさまざまなことが学べますし、知的好奇心を満たしてくれる大学は見つかると思います。いったん自分が学びたいことを日本の大学で学び、それからロンドン大学遠隔教育で学んでも遅くはありません。なにしろ年齢制限はないのですから、焦る必要はありません。


免責事項:情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。