●投稿で目覚めた書く喜び

 当たり前の話ですが、最初から本が書ける人などいません。
 
 自分の本を出すことに憧れる人は多いと思いますが、書く練習が不十分な人が一冊の本を書こうと思っても、なかなか書けるものではありませんし、書いたところで読めた代物でもないでしょう。

 では、もともと書くことに自信がなかった私は、どうやって作家・翻訳家への道のりを切り開いたのでしょうか?

 きっかけは投稿でした。

 書くことに全く興味がなかった私でしたが、24歳頃、ある英語学習雑誌を読んでいて、ふと、自分の英語学習法を読者のみなさんに披露したくなったのです。

 英語学習法といっても、今から思えば大したものではありません。ただ、そのときは、どうしても書きたいという衝動にかられてしまったのです。

 当時は、まだワープロという便利なものも普及していない時代で、私も持っていませんでしたから、原稿用紙に手書きで投稿文を書いて投稿したのです。

 するとビギナーズ・ラックなのか、その投稿文が掲載されました。

 今から思えば、投稿文が掲載された程度の小さな小さな出来事でしたが、当時の私にとってその喜びはとてつもなく大きかったのです。

(こんな私が書く文章でも載せてくれるんだ、こんな私の主張でも認めてくれる人もいるんだ)

 しかも、掲載されたという喜びに加えて、3000円の図書券までも貰えるという喜びもありました。3000円といっても当時の私にはいい小遣いになりました。

 書きたいという衝動にかれれたら、しめたものです。すかさず投稿してみましょう。たとえ投稿したものが掲載されなくても、自分の書きたいという衝動を文章にしたというだけのことで、元は取れます。

 うまくいけば、私のように作家・翻訳家への道のりが切り開けるかもしれませんよ。