●出版社からの年賀状

 出版社とおつきあいをするようになると、年に一度、出版社から年賀状を貰うようになります。

 大抵の場合は、担当編集者からではなく、その出版社からということになります。

 担当編集者が一言添えているものもあれば、印刷だけの場合もあります。

 問題は、印刷されているものの内容です。

 内容は出版社によって2種類に分かれます。

 1つは、通常の挨拶文のみ。これは著者としては、貰って嬉しくないわけではありません。担当編集者の一言が添えてあれば嬉しく思いますし、その一言が決まり文句ではなく、気の利いた言葉であればさらに嬉しく思います。
 
 もう1つは、挨拶文の他に、その年その出版社で刊行した本の表紙カバーの図を印刷してあるもの。多数の本を出版している出版社だと、よく売れた本だけを何冊がピックアップしてその表紙カバーの図を印刷してあります。ベストセラーになったものでもあれば、その本だけは特別扱いで、大きな図になっていたりします。 
 
 後者のタイプの出版社としては、「どうだ、我が社はこんなベストセラーを出したんだぞ」とでも言いたいのでしょう。いや、そういう意図はないにせよ、自社の本の宣伝をしたいというのは明白です。宣伝がしたいからこそ、図を載せているのですからね。

 後者のタイプの出版社がいけないと批判するつもりはありません。

 ただ、年賀状が貰う人が著者で、その著者がその年に出した本の紹介がなく、誰か他の著者が書いた本だけが紹介されている年賀状というのは、貰ってもあまり嬉しいものでもありません。自分の著書が紹介されていない著者としては、そのような年賀状なら、まだ送ってくれないほうがましだとも思うでしょうね。あるいは、送ってくれてもいいけど、送るなら送るでそのような年賀状ではなく、挨拶文だけの年賀状にしてほいと思うかも知れません。

 年賀状一つとっても、その出版社、もっと言えば、その出版社の年賀状の雛形を作成している人の個性が分かりますね(笑)。