●編集者の癖

 私は、かれこれ100人以上の編集者と知り合って来ましたが、面白いもので、編集者には共通の癖があります。

 一つめは、どの編集者も、本を手にすると、まず奥付を見て、その本が何刷りになっているかを確かめるのです。なぜかといえば、何刷りになっているかが、その本が売れたかどうかのバロメーターだからです。

 どういうことか説明しますと、たとえ初刷りが1万の本であっても、初刷りのままだったら、どれだけ売れたか分かりません。もしかすれば1冊も売れていない可能性すらあります。

 しかし、たとえば10刷りにでもなっていたら、それは仮に1回の増刷が1000冊だと仮定しても、1万部は最低売れている証拠なのです。だから、何刷りになっているかが編集者の最も関心事なのですね。

 編集者のほとんどは、「売れた本」イコール「良い本」だと強く信じ切っているようです。まあ、それは出版社に長年勤めていたら、自然とそうなるでしょうね。

 二つめは、本の話をしていると、必ずといっていいほど、「これは何部売れましたか?」とか「これは初版は何部ですか?」と聞いてくることです。

 他社の本の売れ行きは正確には分からないので、こうやって自分とつきあいのある著者から聞き出すわけです。著者としては、もっと本質的なことを聞いてほしいのに、毎回毎回そういう質問ばっかりなので、うんざりすることもあります。

 三つめは、本を作る際、必ずといっていいほど、直近にベストセラーとなった本の真似をしたがることです。「最近、この本がベストセラーになっているんだ」といってベストセラー書を片手に、それに真似た企画を相談してくるのです。私が付き合ってきた編集者のほぼ100%がそれをやります。

 もっとも、彼らがこうした癖があるといっても、それがいけないと言っているわけではありませんよ。そうした癖がある、ということをご紹介しただけです。

 本を渡して、すぐに奥付を見たら、その人は編集者の可能性が高いでしょうね(笑)。