●どうすれば曖昧なまま仕事を引き受けるのを止められるか?
文筆家として仕事をしていますと、条件(印税や原稿料)の話を一切せずに仕事が始まることが少なからずありますが、では、なぜ、そんなに曖昧なまま仕事が始まってしまうのでしょうか?
出版社側としては、依頼した仕事を断られたくないわけです。だから、仕事の条件を口に出さないほうが無難なのです。聞かれもしないのに自分から仕事の条件を口にして、仕事を引き受けて貰えなかったら困りますからね。
一方、文筆家としては、仕事の条件を聞いたり、覚書を求めたりして、うるさい奴だと思われたくないのです。そんなことをしたら、もしかしたら仕事を回して貰えなくなると困る、と恐れ多くて聞けないわけですね。
では、出版社側が仕事の条件を何も言ってくれない場合、文筆家としてはどうすればいいでしょうか?
「きちんと聞けばいいじゃないか、それだけのことだ」
と言ってしまえば、答えは簡単ですが、それがなかなかできないのですよね。
その原因は何でしょうか?
それは依存心です。平たく言えば、相手に断られたら困る、相手に嫌われたら困る、という気持ちです。
これは何も出版社と文筆家の関係だけではなく、人間関係すべてについて言えると思います。相手に嫌われたら困るという依存心が強ければ強いほど、都合の悪いことをひた隠しにしたくなる。
これが人間関係上のトラブルの原因なのです。
ですから、条件が曖昧なまま仕事を引き受けるのを止めるには、依存心を捨てることです。
では、依存心を捨てるにはどうしたらいいでしょうか。
「本を出してもらいたい、お金がほしい、名声がほしい…」
こういった欲を捨てることです。こういう欲があるからこそ、聞けないのですから。
条件が曖昧なまま引き受けてしまって、後で痛い目にあったとしても、それは仕事の条件を明確にしないまま引き受けた自分の依存心が原因だと反省することです。自分にも落ち度があるわけですから。 |
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