●苦手意識を払拭しよう

 みなさん、苦手意識のある科目や分野はありますか。人によっては数学が苦手という人もいるでしょうし、英語が苦手という人もいるでしょう。

 私の場合は日本史。どうしてかといえば、高校3年のときに一度、赤点を取ったことがあるからです。

 それ以来、ずっと苦手意識が頭にこびりついていて、日本史の話題を避けよう避けようとしていました。

 私の場合、歴史は小中学校を通して中ぐらいの成績でしたから、高校3年のときも普通に勉強していれば、中ぐらいの成績は取れていたと思います。

 しかし、高校3年のときは、すでに大学受験科目も決めていましたし、日本史を勉強する意味が分からなかったので、まったく勉強しませんでした。

 物理や化学は得意でしたから、受験科目でなくても良い点をとっていましたが、暗記中心の日本史は放置していると、とんでもない点数になるわけですね。

 でも、まさか赤点を取ることはないだろうとタカをくくっていたら、2学期の期末試験で赤点を取り、再試験を受ける羽目に。

 この赤点を取った経験は、大人になってからも大いに私を苦しめることになりました。というのも一度苦手意識をもってしまうと自分で壁を作ってしまうからです。

 例えば、友人・知人が日本史の話をしていると、いつ無知がばれてバカにされるかもしれないという恐れから、話題に入っていけないのです。それだけでなく、苦手意識をもっていますから歴史小説も歴史映画も歴史ドラマも全部スルーしていましたし、史跡などに行くこともありませんでした。

 そういうわけで、日本史に壁を作ってしまうと、いくら年を重ねても歴史的知識は蓄えられないままだったのです。

 そんな私が苦手意識を払拭しようと奮起して「歴史能力検定」とか「世界遺産検定」を受験しています。いまだに苦手意識は払拭しきれてはいませんが、勉強を続けていると、ふと自分の世界が広がっていることに気づきました。ここではその話をしましょう。

 先日、大阪に観光旅行に行ったときのことです。夕方、健康ランドに行ってマッサージを受けているとマッサージ嬢がこう声をかけてきました。

「お客さん、ずいぶん、肩こってらっしゃいますね」

「ええ、新幹線でずっと座ってましたから」

「どちらからお越しになったんですか」

「東京からです。大阪に着いたらすぐ大阪城を見て、ここに来たのです」

「そうですか。お城とか見るの好きなんですか」

「ま、そういうわけでもないんですが、大阪城はまだ見ていなかったので見ておこうかなって思ったので」

「そうですか。この近くなら白鷺城なんかもいいですよ」

 日本史に苦手意識のあった昔の私なら、まず大阪城が見てみたいと思わなかったでしょう。というのも大阪には魅力的な観光地はありすぎるほどあるからです。また、マッサージ嬢に「白鷺城もいいですよ」と勧められても、「はぁ」と言うしかなかったでしょう。というのも昔の私は白鷺城が姫路城の別称であることを知らなかったし、白鷺城が世界遺産に登録されていることや、なぜ白鷺城と言われるようになったかも知らなかったからです。

 しかし今年の私は「世界遺産検定」で白鷺城のことを勉強していたので、マッサージ嬢とお城の話や世界遺産の話で次から次へと話がはずみ、その勢いで彼女から特別のサービスが、な〜んてことはありませんでしたけれどね(笑)。

 「なんだ、そんなことが言いたいのか、そんなの何の話題だって盛り上がるときは盛り上がるし、別にお城の話で盛り上がったからってそれが何なんだ」とは言わないでくださいね。私がこの記事で言いたいことは、苦手意識をもって壁を作ってしまうと自分の可能性が狭まってしまうということなのですから。

 例えば、英語に苦手意識をもっている人は、ちょっと練習すればうまくなる潜在力をもっていたとしても、最初っから「英語ができないから」といって自分で壁を作りますよね。あるいは、数学に苦手意識をもっている人は、経済学や商学で数式がでてくると、すぐに「数学が苦手だからなぁ」とかいって嫌がりますよね。でも、それってすごくもったいないと思うわけなのです。

 まあ、無理してまで苦手意識を払拭することはないとは思いますが、ちょっとは努力してみてもいいとは思います。私のように、ちょっと勉強しただけで日本史に興味が湧いてくることもあるわけですから。