ベルリッツでのドイツ語会話レッスン体験記

 2010年の夏、ベルリッツでドイツ語会話のレッスンを受けた。オーストリア政府公認ドイツ語検定B1には面接試験があるため、試験対策として会話を練習しておこうというのが受講のきっかけだった。なにしろ、それまでドイツ語で会話などほとんどしたことがなかったのである。

 マンツーマンのレッスンはやたらと高い。これは当然と言えば当然だ。だが私は仕事でドイツ語を使っているわけではないから、それほどお金はかけられない。そういうわけで、最初は10レッスンだけ受けるつもりでいたのだが、たまたま私がスタートしようと思った時期がキャンペーン期間中ということで25レッスンを受ければ受講料がかなり割引になるということを教えてもらい、迷ったあげく、急遽25レッスンを受けることにした。なにしろ1レッスンあたりの受講料が4割以上安くなるというのだ。その割引率はすごい。

 1レッスンは40分。それが25レッスンである。私の場合は、上記ドイツ語検定の面接対策だったので、試験日の直前の2週間にまとめて25レッスンを入れてもらった。

 私はすでにドイツ語検定2級は取得していたのだが(ドイツ語検定は2級までは面接試験がないこともあり)、こと会話に関しては、初心者の域を出ないのは当然のことであるから、初心者レベルからスタートした。

 私はトントン拍子にうまくなると思っていた。そう、私は会話のレベルは低いが、読解に関してはドイツ語検定2級はパスしているし、リスニングもかなりわかる。トントン拍子にうまくなると思っても不思議はなかった。

 ところが最初から苦戦した。苦戦した最大の原因は、男性名詞・中性名詞・女性名詞の区別がはっきりしていないと簡単な文を口に出すにもすべて躊躇してしまうことになるからだ。たとえば、「絨毯の上に猫がいます」というのでも猫が男性名詞か中性名詞か女性名詞かがわからなければ、間違った冠詞をつけていうことになる。そして間違えれば必ず訂正される。ドイツ語会話の先生であるから、その辺は大目に見てもらえるということはない。というのも、それを訂正しなければ、ドイツ語会話の先生ではなくなるからだ。

 ただ、レッスン自体はとても楽しかった。私の会話レベルはまだ初心者レベルであるから、絵を見ながらのレッスンだったが、これがなかなか面白いのである。

 20レッスンを受けたくらいから、徐々に自信がついてきた。簡単な文ならばスラスラ口に出していえるようになったし、頻繁に出てくる単語の性も身体で覚えた(というより覚えさせられた)ので性を間違えることも少なくなった。

 25レッスンはあっという間に終わり、7月4日にオーストリア政府公認ドイツ語検定B1を受けた。結果は合格。75点満点のところ45点以上が合格のところ、47点で合格である。まさにギリギリだが、合格は合格だ。1回目は31点、2回目は39点、そして今回が47点。今、清々しい気持ちで合格証書を目にしている。