●法学部を卒業して良かったこと

 私は45歳のときに日本大学法学部(通信課程)に学士入学し、2年間で卒業しました。

 今、法学部を卒業して、しみじみ良かったと思っていますので、ここでは、その理由をお話ししたいと思います。

 法学部を卒業して何が良かったかを一言でいえば、本人訴訟ができるようになったということです。

 これは、言い換えれば、自分の権利が不当に侵害されたとき、いつでも国に裁いてもらうことができるということです。正直、これほど安心なことはありません。

 特に私のように、大企業に都合良く権利をねじりつぶされやすい個人営業主にとっては、この上ない精神安定剤になってくれます。

 本人訴訟とは弁護士をつけずに一人で訴訟活動をすることですが、弁護士費用がかからないため、極めて安あがりです。必要なのは印紙代と切手代、交通費くらいなものです。

 本人訴訟がいいのは費用面だけではありません。何から何まで自分の思い通りに進行できるのです。口頭弁論が開かれるのは1ヶ月ないし1ヶ月半おきですから、心細くなったら、その間に役所等でやっている無料法律相談を利用して弁護士に相談すればいいわけです。

 弁護士に任せたほうがいいのではないかという人もいるかも知れませんが、弁護士も所詮は人の子です。他人のしょうもないケンカに延々とつきあいたいと思っている弁護士などいるはずもなく、ほとんどはサッサと和解させて早く報酬を手にしたいと思っているでしょう。だから、依頼者が納得していないのに和解を強く勧める弁護士もいるでしょう。
 
 その点、本人訴訟なら、何から何まで自分の思い通りに進めることができるのです。

 また、本人訴訟なら別に法学部を出なくてもできるじゃないかという人もいるでしょう。

 それはその通りです。訴状を書いて裁判所に提出さえすれば、本人訴訟などすぐにできるわけですから、本人訴訟をするのに法学士の学位など必要ありません。

 しかし、実際はどうでしょうか。あなたの権利が侵害されたとします。相手が話し合いができる相手でない場合、あなたは本人訴訟に踏み切れるでしょうか。それとも弁護士を探すでしょうか。あるいは、ある日、いきなり訴状が届いたら、あなたは一人で答弁書を書くでしょうか。それとも弁護士を探すでしょうか。

 難しい事件であれば弁護士に頼んだほうがいい場合もあるでしょうが、法学部で学んで法律の全体像を見渡せるようになっておけば、本人訴訟でも十分争っていけるし、その自信がつくわけです。

 司法試験は国内最難関とよく言われますが、弁護士がすべての法律に通暁しているわけではないし、真理ほど強いものはないわけですから、自分に落ち度がなければ、相手方の弁護士をおそれる必要もないわけです。

 法学部を出れば、そういうことが分かってくるわけです。それはとても大きな収穫だと思いますね。

 私は通信制の大学を学士入学して出ましたので、トータルでもかかった学費は30万円代です。それだけでこれだけの安心が買えるわけですから、本当に良かったと思いますね。なにしろ、これは一生ものですから。

 法学部で学んで良かったことは、もちろん、これ以外にもあります。ここではその一つだけをお話ししました。