●必修科目のありがたさ

 大学などの教育機関で学ぶ意義の一つに、卒業するには興味のない科目も勉強しなければならないことがあげられると思います。

 興味がない科目が選択科目であれば避けて通ることができますが、必修科目になっていたら避けて通ることはできません。避けようと思えば、中退するしかなくなるからです。

 勉強してみた結果、結局、最後の最後まで興味がわかなかったということもあるかもしれませんが、単に「食わず嫌い」であることも多々あるものです。

 何かのきっかけで、単なる食わず嫌いだったにすぎない料理のおいしさを知ったとき、次のような複雑な心境になったことはないでしょうか。

「この料理、こんなにおいしかったんだ。いい料理に巡り会えた。ああ、もっと早くから知ってたら、もっと頻繁に食べることもできたのに…」

 おいしい料理に出会えた喜びがある反面、それまでずっと知らなかったという悔しさもあるのではないでしょうか。

 勉強における「食わず嫌い」も同じことがいえます。

「今まで知らなかったけれど、この分野の勉強って、こんなにおもしろいんだ。なんでもっと早くから勉強しなかったんだろう。ああ、もったいない」

 きっとこのような気持ちになると思います。

 人間、ものぐさなもので、興味がわかない勉強、する義務のない勉強はなかなか自ら進んでしようとしないものです。

 私は、基本的に、したくない勉強は無理にしなくてもいいとは思っています。それは食べたくない料理を無理に食べる必要がないのと同じです。

 しかし、好きな料理ばかり食べていると、食わず嫌いにすぎない料理の味がいつまで経っても味わえないのと同じで、「食わず嫌い」にすぎない分野の勉強のおもしろさもいつまで経っても分からずじまいないのです。
 
 そう考えると非常にもったいないということが分かるでしょう。
 
 しかし、大学などの教育機関で学べば、必修科目がありますので、今まで「食わず嫌い」にすぎなかった科目のおもしろさに目覚める可能性が高まるのです。