社長に直談判
 
 翻訳会社に再就職してから3ヶ月目に突入しても、会社のほうからは一向に再就職者用の説明会のことは何もいってきませんでした。

 当時の私というと、その翻訳会社から某大手企業に派遣されており、その某大手企業で1人だけ派遣社員として働いていました。ですから社長と実際に顔を合わせるということはありません。

 そういうわけで私は約束されていた額の給料が支払われない理由が分からず、悶々とした日々を送っていました。こういうときの一日一日は過ぎるのが実にのろいのです。

 放っておけばいつまで経っても説明会は開催されないままになってしまうのではないかという不安を抱いた私は何度か人事課に電話で問い合わせをしました。もちろん、意図としては説明会の開催を催促するためです。

 入社してから4ヶ月くらい経った頃、ようやく会社の方から説明会を開くという知らせがきました。私は、ようやくこれで給与のことが聞けると思ったものでした。

 ところが待ちに待った説明会に出てみても給与に関する説明はいっさいありませんでした。担当者に聞いても、「それは社長に直接聞いてください」というばかりです。しかたがないので社長に手紙を書きました。

 すると数日してナンバー2かナンバー3かは知りませんが、その人から話し合いの機会をもつといわれ、その人とあって話すことになりました。

 あってみると50才くらいの腰の低い人で、私の主張をただ聞き流すだけで、反論も何もしません。結局、その人に言っても何にもなりませんでした。

 しかたがないので社長に再度手紙を送りました。すると、社長直々に私が派遣されている某大手企業まで話しに来るとのことでした。

 私の主張は「給料は192000円と聞いていた。他の会社に面接に行っていないのだから記憶違いではない。なのに185000円ではひどいではないか」というものでした。
 
 一方で社長の主張は「192000円といったかどうか覚えていない。185000円でも十分生活できるだろう。お金というものは努力の後からついてくるものだ。いい仕事をしていれば自然と給料もあがる。君の年齢(27才)では192000円というのはない。うちの会社ではそれは30才の給料だ。君だけ特別にそれだけ出していることが他の人に知られたら嫉妬を生むから、君だけを特別扱いすることはできない。お金がほしければ、いい仕事をしろ。いい仕事をすればボーナスをはずんでやる」というものでした。

 せっかく社長と1対1で話し合いができたというのに、まったく話がかみあいませんでした。しかしここであきらめてしまったら、私の給与は修正されないままになってしまいます。その後どう出るか私は逡巡していました。