翻訳の仕事で初めてお金をもらった
 
 私が初めて翻訳の仕事でお金をもらったのは26才のときでした。
 
 当時、私は英会話学校の講師をしていましたが、給料(すべては教えた時間が時給計算されていました)は年齢とともにあがっていくというものではないため、将来は得意な英語力を翻訳という仕事で活かしたいと思っていました。

 私は、その学校の同僚数人に、機会があるごとに翻訳の仕事がしたいということをことあるごとに打ち明けていました。

 だからからかどうかは分かりませんが、ある日、その学校の事務局からレポートの翻訳を頼まれたのでした。

 もっとも、それは常時依頼されるというのではなく、あくまでそのときだけの突発的な仕事としてでしたが。

 私が翻訳をした「レポート」とは、ネイティブの講師が自分が教えた生徒の評価を英語で書いたもののことで、それを日本語に訳すという易しいもので、何も翻訳家に頼む必要もないようなものでした。

 まあ、だから翻訳の仕事をしたことのない私でも間に合ったわけですが。

 報酬は英会話講師の時給と同じでした。

 というのもあくまで突発的な仕事なので、学校側もいくらが妥当な額かわからなかったのでしょう。とにかく急いで翻訳してもらいたかった学校側は、講師としての時給を提示してきたのでした。

 時給は2000円でしたから、いい小遣い稼ぎになりました。

 なにしろ自宅での作業で、しかも自己申告なのです。5時間かけて翻訳すれば1万円になるのです。26才の私にとっては実に魅力的な仕事でした。

 当時はパソコンという便利なものもなかったため、すべては手書きでしあげましたが、手書きだと時間がかかるため、時給で報酬がもらえる私にとっては逆にありがたい話でした(笑)。

 どれくらいの仕事量をどれくらいの頻度でもらったかははっきり覚えていませんが、トータルで5万円ていどにはなったと思います。

 いずれにしても、これで私は翻訳を仕事としてした経験ができたのでした。