●自分の好きなジャンルの本を読む

 私は長年の経験から、何を読むかについては、次のような結論に達しました。

 一番お薦めしたいのは、自分の好きなジャンルの本を読むことです。

 当然のことですが、自分の興味のないものを読むのは苦痛です。

 これは日本語で考えてみればよく分かります。例えば、経済のことに興味がない人が経済記事を読んで楽しいと思えないように、「さあ、英語で経済記事を読むぞ」と意気込んでも、楽しいと思えないはずです。

 そして、楽しいと思えないことをしても、長続きさせることは困難でしょう。

 ちまたにある英語学習参考書には、『TIME』や『NEWSWEEK』などの英文雑誌や英字新聞を薦めているものもあります。

 しかし、読みたいという気持ちが起こらないのに、「英語の力がつくから」という理由だけで、このような英文雑誌や英字新聞を読んでいると、だんだん英語を読むのが苦痛になってきます。

 上智大学の英文科を出て、さらにイギリスに留学されていた渡部昇一氏でさえも、『TIME』を読んで楽しめるようになったのは30代半ばだと著書で述懐されていました。

 とても初心者や中級者が背伸びをして手を出す代物ではないのです。

 では、どうすればいいでしょうか。

 自分の好きなジャンルの本を読むようにすればいいのです。そうすれば読むのが快感になります。

 また、自分の興味のあるジャンルの本であれば、少しくらい難しくても、辞書を引き引き読み進めたくなるものです(というより、それほど「読みたい」と思える本を選んで読むべきなのです)。

 例えば、料理が好きな人なら料理の本、環境問題が好きな人なら環境問題の本、スポーツが好きならスポーツの本でもいいでしょう。

 自分の興味のあるジャンルの英語の本はインターネットを通して買えば、簡単に手に入ります。

 そうすれば、自分の興味のあるジャンルの専門知識が身に付くし、しかもその分野の英語の専門用語も覚えられます。ちょっとした「通」になれるわけですね。

 普段、私たちが日本語で読んでいる本や雑誌や、日本語の勉強のために読んでいるわけではありません。読みたいから読んでいるわけです。

 英文に関しても同じことをすればいいのです。あくまで「読みたい」という気持ちを大切にして、読むものを決めるのです。