2011年5月ロンドン大学(通信課程)最終試験受験体験記 

○5月9日(水)
 2年目の最終試験の最初の試験日です。
 2年目ですから要領は分かっています。ただ、試験となると緊張します。もっとも、いい意味での緊張です。
 1年目は4科目とも午前10時から午後1時まででしたが、不思議なことに2年目は4科目とも午後2時から午後5時までと決められていました。どちらがいいかと言えば、午後から始まってくれたほうがいいですね。寝坊を心配しなくてもいいですから。
 試験会場は例によってブリティッシュカウンシルです。
 試験場に到着して待っていたところ、結局、午後の部は私一人でした。
 聞いてみると、多くの受験生(外国人が多い)が3・11の大地震の後、帰国してキャンセルしたらしいです。
 私1人での受験というのも乙なものです。なにか自分にしかできないことをやっているような感じさえして、やる気も出ます。
 さて、肝心の試験のほうですが、同日は「認識論」です。
 日本語の専門書の数が限られていたのでどうなることかと思っていましたが、なんとか回答は書きました。
 3つ選択して回答することになっていますが、私は「ゲチア問題」「基礎信念の無限後退」「信頼性主義」の3つを選びました。
 回答がジャストミートしていれば合格間違いないと思いますが、ジャストミートしているか否かが私自身判明しません。
 なんとか合格を祈るのみです。でも、不合格でも、ベストを尽くしたので、悔いはありません。
 試験が終了した後、翌日の試験に向けて図書館で勉強するつもりでしたが、恐ろしく疲れてしまい、結局、勉強できませんでした。やはり3時間の英語の論述試験は疲れます。

○5月10日(金)
 この日は「近代哲学(デカルト・ロック・バークリー・ヒューム)」の試験日でした。
 この4人の哲学者のうち、最低2人について3問の問いに答えることになっています。
 デカルトは昨年から勉強していますし、あるていど自信がありましたので、デカルトで2問答えて、ロックで1問答えるつもりでした。
 しかし、デカルトの問題はどれもひねってあります。知っていることをずらずら書いてなんとか点数を貰おうかとも思いましたが、問われたことでないことをずらずらと書いてもいい点数にはならないことは今までの経験からも分かっていることです。
 急遽作戦を変更し、デカルトは1問だけにし、ロックを2問解きました。
 それぞれ5枚、5枚、4枚と書きましたが、ジャストミートしているか否かはあまり自信ありません。なんとか合格点はもらえるのではないかと期待はしているのですが、どうなることでしょうか。結果が出るのが8月以降でしょうから、まだまだ先のことです。結果を考えるのはしばらく止めて、次の試験の準備に取りかかることにしよう。

○5月17日(火)
 この日は「現代倫理学」の試験日でした。
 受験生は私の他に若い女性でした。モデルのように可愛い西洋人でした。
 今年3日目となると、ずいぶんと慣れてきます。初日は3時間が地獄のように長く感じましたが、この日は3時間がそれほど苦痛ではなくなっていました。
 一番心配だった科目ですが、どうやら解けそうな問題を3題選びました。
 選んだのは、道徳の客観性、功利主義、徳の倫理です。なんとか書いたというのが正直なところで、内容にそれほど自信があるわけではありません。ただ、枚数としては5枚、4枚、5枚と最後のページまで埋めました。もっとも私はダブルスペースで書いています。
 
○5月18日(水)
 この日で最後の日です。これでしばらく解放されることになります。
 受験生は3名。私以外は、昨日の女性と日本人らしき中年男性。
 女性は、私が勉強しているときに私が読んでいる参考書に目をやり、「私も同じの読んでいるよ」と英語で話しかけてきました。
 咄嗟のことで、英語が出てきませんでしたが、話してみると彼女も哲学専攻でした。
 3年目だそうです。
 彼女は私の昨年の結果を聞いてきましたので、「だいたい50点くらいだったよ」と英語で答えておきました。彼女の点数は聞きませんでした。
 この日の科目は「近代哲学(スピノザ・ライプニッツ、カント)」でした。
 カントから2題、スピノザから1題選択しました。予定どおりです。
 ただ、私が選んだ3題は、かろうじて何か書ける問題で、残りはまったく手が出ないような問題ばかりでした。
 しかも私が選んだ3問も、それほどできがいいとも言えません。書いた枚数は4枚、4枚、4枚でした。
 
○総評
 今年は3月11日の大地震の影響か、受験生が非常に少なかったです。
 日本人は私を含め、おそらく5人もいなかったのではないでしょうか。
 「そんなことになぜ時間とエネルギーとお金をかけてやるのか?」
 と思われる人もいるかも知れませんが、答えは、「自分を磨きたいから」というのと「楽しみながら自分が磨けるから」ということになるでしょう。
 さて、これでしばらくはロンドン大学の勉強はお休みです。やはり1年に4科目受験はかなりきついので、もし今年4科目合格したら、来年は残った3科目だけを受けて、保険をかけるのはやめておいたほうが良さそうです。