通信制の大学に向いている人、向いていない人

 
通信制の大学は独学が中心となります。これはどの通信制の大学でも同じでしょう。ですから極論すれば、独学が好きな人であれば通信制の大学に向いている、逆に、独学が嫌いな人は向いていないということになります。

 授業(通信制の大学においては「スクーリング」とも言います)もありますが、それはせいぜい3分の1から5分の1くらいに過ぎません。
 残りは基本的にテキストや参考文献を頼りに通信課題をこなし、試験勉強をする日々を送ることになります。

 しかも、一人でやらなければならないことは勉強だけではありません。
 細々とした手続きのすべて、例えば、レポート課題の締切がいつなのか、試験日の申込日期限がいつなのか、スクーリングの申込み期限はいつなのか、卒業論文指導の申込み期限はいつなのか、学費の納入期限はいつなのか、こうしたことをすべて大学から送られてきた冊子などで調べて一つひとつ行っていかなければならないのです。
 
 ですから、こうしたことをすべて一人でコツコツやって行けない人、言い換えれば、おしりに火がつかなければできない人や他人からせっつかれないとできない人は、せっかく入学しても、途中で嫌気がさして中退する可能性が高いと思います。

 近年はメールやブログ等で友人たちとコミュニケーションを取ることも容易になりましたので、勉強上の悩みも相談しやすくはなっています。
 しかし、それぞれが自分のペースで勉強を進めますので、基本的には全部一人だけで解決していくつもりでいたほうがいいでしょう。
 
 一方、自分一人でコツコツと勉強していくのが苦痛でない人(あるいはむしろ、好きな人)は通信制に向いていると言えます。
 通学制の場合は、自分の理解度と周りの人たちの理解度が違っていても、同じペースで講義が進んでいきます。
 その点、通信制の場合だと、自分一人で勉強を進めていける人は、自分の理解度に応じてハイスピードで勉強を進めて行くこともできるので、そういう人はむしろ通信制でこそ思う存分実力を発揮させることができるでしょう。
 
 また、「学問をやりたいのだが、自己管理能力がない。この際だから、通信制の大学にチャレンジして、学問と同時に自己管理能力を身につけたい」という人なら、通信制の大学は理想的な修練の場となるでしょう。
 自ら率先して次々と行動を起こさないかぎり何も進まないという通信制のシステムを乗り切ることで自己管理能力が大いに磨かれます。卒業したあかつきには、やろうと思ったことを次々とやりこなせる自分を発見することでしょう。

 自分が通信制の大学に向いているのか、向いていないのかを見極め、向いていない場合は通信制ではなく、夜間にも通える通学制の大学にするなど、別の制度で勉強したほうが本人のためだと思います。