●英検1級とTOEIC

 英検1級とTOEICは同じ英語の検定試験といっても出題形式が異なりますので、必ずしも一方の試験対策が他方の試験対策として通用するというわけではありません。
 
 大昔の英検1級には英文を日本語で要約するといった問題もありましたが、今の英検1級の出題形式は日本語が全くわからない人でも英語さえわかれば合格できる英問英答の問題ばかりですので、そういう点ではTOEICと似通ったとはいえます。

 ただし、両者の出題傾向は異なりますので、単純にTOEICで何点くらいとれれば英検1級に合格するとか、英検1級に合格していればTOEICで何点とれるかという保証はできません。

 それでもあえて双方を比較するとすれば、英検1級に合格するにはTOEICで最低900点くらいは必要となるでしょう。逆に英検1級に合格している人であれば、最低でもTOEIC800点前半くらいはとれるでしょう。

 では、英検1級とTOEICの違いはなにでしょうか。

 英検1級は難しい英文を深く読む力が必要とされます。語彙に関しても相当レベルが高いので、「ここまでやっていれば大丈夫だ」というものは存在しないと考えてもいいでしょう。合格しようと思えば、英文をじっくり読む習慣を身につけるほか、別途語彙力の増強にも努めなければなりません。

 それに対してTOEICは標準的な英文を素早く読み、素早く回答を見つけ出す能力が要求されます。したがって一定の語彙力があれば、それ以上取り立てて語彙力増強に励む必要もありません。また英文自体が標準的なものですので、難解な英文を読む訓練をするくらいなら、英字新聞レベルの英語を素早く読む訓練をしたほうがましです。

 同じ英語の勉強だと割り切って、試験結果も気にしない人であれば、同時に二つの試験をねらってもいいでしょう。しかし、合格(または希望の点数取得)をぜひねらいたいという人であれば、同時に二つの試験をねらうよりも、ひとつひとつねらっていくのも手です。