●慶應通信卒は慶應卒を語って大丈夫?

 例えば、慶應大学の文学部の通信教育課程を卒業した場合、履歴書に書く表記はどうなるのでしょうか?
 
 「慶應義塾大学文学部卒業」でしょうか、それとも「慶應義塾大学文学部(通信教育課程)卒業」でしょうか?

 これから入学しようかという人、あるいは、卒業後に転職でも考えている人は、気になるところかもしれませんね。 

 答えを言いますと、どちらでもいいのです。つまり、どちらも正式な表記ということになります。

 インターネット上では、「慶應通信卒なのに、通信卒を隠して『慶應卒』を語るのは詐欺だ。入試を突破して入学したわけでもないのに、ごまかすな」といった論調で書いている人がいますが、詐欺ではありません。
 
 学位記(卒業証書)には、通信教育課程という文字が入っておらず、したがって通学課程の卒業生とまったく同じ学位記がもらえます。つまり、慶應義塾大学が「慶應大学文学部卒業」と認めているということにもなるわけですね。

 考えてみれば、通学課程と一口にいっても、入学試験の難易度の高い学部もあれば、低い学部もあり、さらに学校推薦やスポーツ推薦、帰国生入試など一般の入学試験とは異なるシステムで入学している人もいるわけですよね。それらすべてをひっくるめて通学課程といっているわけです。
 ですから、「一般の入学試験に合格して入学し、卒業した人でないと本当の慶應卒ではない」と言うのであれば、学校推薦やスポーツ推薦、帰国生入試など一般の入学試験以外のルートで入学した人たちも慶應卒ではなくなりますからね。
 
 結論から言えば、慶應義塾大学が通信教育課程という文字の入っていない学位記を発行している以上、通信課程の卒業生であっても「慶應大学○学部卒業」と語って大丈夫です。

 もっとも、履歴書を書くなど、学歴を披露する機会の少ない人は、卒業後数年もすれば、そんなことどうでも良くなってくると思います。

 正直なことを言えば、私自身、「慶應卒」というのに憧れていたことは事実で、入学したばかりのときは通信課程であっても嬉しかったものですが、卒業して年月が経つにつれ、「慶應卒」にはこだわらなくなりました。そんな肩書きよりも、慶應大学で学べたことそのものが良かったと思えるようになっていました。