●英語の化石化に気をつけよう

 ネイティブの友達(あるいは恋人)でもできれば、フリーカンバセーションで英語が話せるわけですから、英会話学習者にとっては一石二鳥だと思う人もいるでしょう。

 しかし、相手は英会話の講師ではないので、おかしな英語をしゃべっても、意味さえ通じれば、いちいち直してくれないものです。

 たとえば、「AとBの違いは何ですか?」と英語で言おうとして、What different, A, B? と言ったとします。

 文法的には What is the difference between A and B? が正しいのですが、先の英語でも相手には意味が通じますので、そのまま会話が続行してしまいます。
 
 また日本人はよく時制や複数形の使い方を間違えます。たとえば、「あなたはこれを昨日買ったのですか?」と英語で言おうとして、Did you bought this yesterday? と言ったりします。

 本来なら Did you buy this yesterday? と言うべきなのですが、やはりこれも英米人に通じますので、直してもらえないでしょう。

 実はここに危険が潜んでいるのです。

 直されないままだと、間違った英語を使っている本人も潜在意識に「これで通じるんだ」という意識が染み込んでしまい、その結果、いつも間違ったまま使うようになり、直そうと思っても直らなくなるのです。

 この現象を言語学の専門用語で化石化といいます。

「カタコトでも通じればいい。文法なんか気にしていたら楽しくない。化石化が起こっても、楽しければいいじゃないか」と反論する人もいるかもしれません。

 しかし、化石化した英語を聞かされるネイティブの気持ちも考えてみてください。化石化といっても、度合いにもよりますが、度がひどければ、話していることを理解するのに相当ストレスがかかるでしょう。

 ですから、相手とのコミュニケーションをより楽しもうと思うのであれば、英語が化石化しないように努めることも必要なのです。

 そのために必要なのは「通じさえすればいいんだ」という安易な気持ちは捨てることでしょう。

 といっても、「正しい英語を話さなければならない」とガチガチに考える必要はありません。「正しい英語を話そう」という気持ちと「通じさえすればいい」という気持ちのバランスをうまく取りながら、努力していくことが重要です。